いつから腎臓病は始まっているのか

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何らかの原因で腎臓が障害を受けてしまった場合、一過性の原因であればそこから回復する見込みがあると言われています。ただし障害の程度が大きい場合や、障害が解決されずに持続する場合には回復しない可能性が高まります。3ヶ月経っても回復しない障害は、もう不可逆的な障害に至っていて、これ以上待っても回復は見込めないであろう、と判断されます。

私たち獣医師もこの変化を、なるべく早期で見つけてあげたい! と思うのですが、初期の腎臓病を検出するのは本当に難しいと思っています。それには以下のような理由が挙げられます。

初期の腎臓病は症状がない!

腎臓の機能がトータルで約30%を下回ってからしか、外から見て分かるような症状や、血液検査での異常値は出てきません。仮に毎年血液検査をしていたとしても、初期の腎臓病は見落とされる可能性が高く、異常値が出たときにはかなり進行していた、ということもよくあることです。

腎臓は2つある!

仮に片方の腎臓(尿管)に石が詰まってしまい完全に機能を損なってしまったとしても、もう片方の腎臓ががんばってくれるので直ちに尿毒症にはなりません。血液検査でも腎臓の値は意外と正常値だったりします。

猫は自分の体の不調を隠す動物です

そもそも猫はがまん強い動物と言われますが、自分の体の不調を他の動物に知られないようにする傾向があります。なので、一緒に生活しているご家族でも、わずかな体調不良に気付くのは難しいのです。ましてや初期の腎臓病は症状がほとんどありませんので、見た目での判断はほぼ不可能です。

いかがでしょうか、いかに腎臓のトラブルを初期のうちに発見するのが難しいか理解して頂けましたでしょうか。

それでも、なんとか早くに発見してあげたい! そのためにできることがあります。それは、元気なうちに、定期的な健康診断に行くことです。

佐藤祐

猫好き獣医師。 所属:獣医腎泌尿器学会、iCatCare Veterinary Society

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