慢性腎臓病になると猫はどうなるの?

メインコンテンツ

腎臓は尿を作ることで体内の不要な物を外に出す臓器ですが、腎臓病になるとそれがうまく働かなくなります。本来、尿として体の外に捨てたい尿毒素物質などが体外に出ていかずに、体の中に貯まってしまうと「尿毒症」になってしまいます。尿毒症になると猫は体内に溜まった毒素のために常に気持ちが悪く、食欲が落ちたり、吐き気が続いたりします。

急に尿が作り出せなくなってしまう急性腎障害と、今日も明日も、ずーっと長期間にわたって腎臓の機能が落ちてしまう慢性腎臓病では症状が異なりますが、ここでは慢性腎臓病についてお話ししましょう。

初期の腎機能の低下は症状がまったくありません。一緒に生活しているご家族にも気付くことができません。当然、猫自身にもまったく自覚はないでしょう。

徐々に腎臓病が進行して腎機能が落ちてくると、多くの猫は体が脱水がちになってきます。本来は体の中に残しておきたい水分なのに、うまく保持できなくなってくるため、体から勝手に水が出ていってしまうイメージです。そのために、猫は常に喉が渇いた状態が続きますので、水をたくさん飲むことでうまく対応します。

はじめのうちは水を飲む量を増やすことでなんとか脱水にならないようにしますが、猫が口から飲める水の量にも限界がありますので、徐々に脱水の進行が勝ってきます。水だけが出ていって、尿毒素物質が体に残る、脱水と尿毒症の二重の症状のため、猫の食欲を奪い、気持ち悪さがでてきます。

慢性腎臓病がいよいよ進行してくると、更に脱水は進み、尿毒症は悪化します。猫の食が細り、嘔吐の頻度が増えて、痩せ細ってくるでしょう。同時に、様々な合併症(貧血や高血圧など)が進行していきますので、最終的にはこれらが死因になっていくと考えられています。

佐藤祐

猫好き獣医師。 所属:獣医腎泌尿器学会、iCatCare Veterinary Society

関連記事

特集記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP