猫は腎臓のトラブルが多い動物です

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猫を飼う上で絶対に知っておいて欲しいことがあります。それは、猫には腎臓病が多いということです。そして、腎臓病が最終的な猫の死因になる可能性が高いということです。

猫の腎臓病がどれくらい多いかというと、2014年の研究では、全ての年齢の猫の約50%、15歳以上の猫の81% が慢性腎臓病になっているという報告があります。つまり、ほとんどの猫が腎臓病と無縁にはいられないということです。これは少し極端な言い方でしたが、猫の一生というスパンの中で言えば決して大げさではありません。多くの猫が、一生の間で経験する可能性が高い病気なのです。

最近の猫さんはとても長生きになりました。屋外飼育が当たり前、猫同士のケンカや交通事故のリスクに晒されていた昔に比べて、今ではほとんどの家庭が室内飼育をされています。猫は室内で平和に一生を送ることができるようになりました。それら理由もあり、最近の猫の寿命はペット保険会社の調査では14.5歳というデータがあります。これはペット保険に加入しているという、割と医療に熱心で、何か体調の不良があれば病院に連れて行ってもらえる猫の家族、という特殊な条件付きのデータかも知れませんが、長生きする子が増えたことは実際の動物病院の臨床現場にいても感じることです。

すでにご存知の方もいらっしゃるかもですが、腎臓という臓器は一度障害を受けると回復しない臓器です。厳密に言えば急性の障害に対しては回復する見込みがまだありますが、ある程度の期間(慢性腎臓病の定義では3ヶ月と言われています)に及ぶ障害に対しては回復は厳しいと考えられています。なので、一般的に腎臓の機能は加齢とともに落ちていく一方通行で、いかにいま残っている腎臓機能を大事に温存できるかが大切になってきます。猫においても、加齢とともに治らない腎臓機能の低下(慢性腎臓病)が増えていくことが知られています。

そして猫の最終的な死因を調べた研究では、慢性腎臓病が2位、その他の泌尿器疾患が1位と言われています。実際には死因を一つに限定するのは難しいのですが、少なくとも腎臓や泌尿器に関わる疾患が死因の上位を占めるのは明らかなようです。

この腎臓病に対して私たちは何ができるのでしょうか。

残念ながら一度損なってしまった腎機能を回復させるというのは難しいです。(腎移植や再生医療については現在も研究が進められているところではあります)

私たちにできることは、

  1. できるだけ早めに腎機能の低下に気づいてあげること
  2. 腎臓病を進行させないこと、病気の進行を遅らせること
  3. 腎臓病の症状があれば楽にしてあげること
  4. できれば若いうちから、そもそも腎臓病にならない生活を送ること

これら4点になります。
後ほど、詳しくお話ししていこうと思います。

佐藤祐

猫好き獣医師。 所属:獣医腎泌尿器学会、iCatCare Veterinary Society

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